世田谷草野球ロスヒターノス・ブログ

世田谷草野球ロスヒターノス・ブログ!

神様

今回は、わが野球人生において「野球」に対する考え方を根本的に変えさせられた人物!

最後の四割打者『テッド・ウィリアムズ

しかし、ボクは彼を「最後の4割打者」という形容詞だけで紹介するのをあまり好んでいない。

なぜなら彼の実績の中での4割という記録は、本塁打などのその他の記録と一緒に見ることにより、いかに人間業ではない記録だということが分かるからだ。

 ウィリアムズは1939年〜60年までの22年間レッドソックス一筋プレーをした。

39年にいきなり打点王と新人王を獲得。3年目の1941年には4割6厘を記録し、これ以後日米球界には4割打者は存在しない。

首位打者6回、本塁打王4回、打点王4回。42&47年には三冠王を獲得。引退間近の57&58年(39歳と40歳)には、2年連続首位打者という離れ業を演じるなど彼の功績を挙げたら本当にキリがない。通算成績は、打率.344 本塁打521本 打点1839点。これだけみれば、ベーブ・ルースなどに劣ると感じる方も多いかと思うが、忘れてはいけないことがある。1939〜60年の22年間の現役生活のうち、2度戦争があった。43〜45年は第二次世界大戦で戦地へ、52〜53年には朝鮮戦争で戦闘機に乗っていた。

 確かにウィリアムズを上回る実績の選手はいるが、2度の戦争を乗り越えてのこの通算成績だということを考えれば、ボクはベーブ・ルースを超えるメジャーリーグ史上最高の選手だったのではないかと思う。(『The Real 100 Best Baseball Players Of All Time... And Why!』(←洋書)の中では、メジャーリーグ史上2番目の選手に選ばれている。1位はルース。)

 『○○シフト』なんて言葉も野球界にはよく登場するが、これもあまりにも打ちすぎるウィリアムズに対してアスレチックスのブードロー監督が行ったのがはじめて!

左のプルヒッターのウィリアムズに対して『ブードロー・シフト』は、内野手を1・2塁間に3人、三遊間に1人という守備体型で守る。

王貞治なんかにも『王シフト』があり苦しめられたが、ウィリアムズには『ブードローシフト』は通用しなかった。

 

 そんな『打撃の神様』と呼ばれるウィリアムズの著書『バッティングの科学』。

中学3年の時に、この本に出会ったボクは野球の奥深さを痛感し、自分の未熟さを再認識させられる内容だった。

ちなみに755本塁打のメジャー記録を持つハンク・アーロンの『ハンク・アーロンのホームラン打法』という本も同時に買ったが、こちらはやはり『バッティングの科学』に比べ内容が薄かった。

 この時野球とは『考えるスポーツ』だというモノだと思った。確かに競馬を買う時も、確率論だからと言い、何も見ないで買う人は少ないと思う。いかに確率が高くなるかを検討しながら馬券を買うだろう。野球の確率も、頭を使うことによって如何様にでもなる。肉体的な限界はあるが頭を使うことによってそれをカバーすることは出来るのである。だから野球というスポーツは面白い!

 よく「理論ばっかりではダメだ!」とボクは言われるが、日本のスポーツが頭打ちになったのは「理論」を認めようとしなかった現実が背景にある。

今でこそ世界に挑戦する選手も増え、日本のアスリートも世界クラスになってきたが、「理論」なしには有り得なかったことだろう。

 特に野球というスポーツは、他のスポーツと比べてもまだ「理論」が認められにくい環境にあると思うし、指導者の「経験論」が「理論」へと挿げ替えられているのが現実なのではないだろうか?

 テッド・ウィリアムズの『バッティングの科学』が発行されたのは今から30年以上前。この時に多くの指導者がこの本に出会っていれば、日本の野球界も大きく変わっていただろう。

 その証拠に、この本に影響を受けた人の野球選手が日本球界を変えたことはあまり知れれていない事実である。

野村克也監督「野村ID」には、テッド・ウィリアムズの『バッティングの科学』や、スペンサーの頭脳的野球が根底にある。

選手「野村克也」だけでなく、指導者としても大成した。

 野村監督ほど素晴らしい理論を持つことは難しいかもしれないが、『バッティングの科学』に感銘を受けた人は、ただ指導者に言われただけのことを、「ハイハイ」いいながらやるのではなく、自分で考えるだろう。

 野球の世界で当たり前だと思っていたことが、角度を変えてみれば非効率だということも少なくない。

「量より質」という言葉があるが、まさにそう思う!

最近では、甲子園出場高校の人に会うと、まずどんな練習をしているのか聞くというちょっと妖しい人になっているが、意外と強い学校ほど、練習量が少なかったりする。週1回以上の休みも決して珍しい話ではないし、1日の練習時間も3時間程度なんてチームも少なくない。

 おそらく根性論をやってきた人には、認めたくない人たちもいるだろうが、これが現実なのかもしれない。(←正直ボクも驚いた)

 「質」を高めるには、やはりより「楽」をするかである。

「楽」というのは怠けるコトではない。より練習「効率」を高めるということだ。

それには、経験論よりも「理論」が重要になってくるのは周知のとおりだ。

 

「速い球が投げたい」とよく聞いてくる人がいるが力学的に考えればそんな難しいモノでもないし、ボクはどんな人でも130kmくらいまでだったら投げられるのではないかと思う。

こんなに運動神経の無いボクだって、ある程度のスピードボールを投げられるのだから・・・

ボクは大した選手でもなければ、大した指導者でもない。ただの普通の野球人と言っても、野球をやっている人に失礼になるような野球人かもしれない。

そんなボクの野球人生は今が2回目だ!1度目は、『バッティングの科学』という本に出会う前、そして2回目の野球人生は『バッティングの科学』に出会った後である。

そして、2回目の野球人生のほうが面白い!

それはテッド・ウィリアムズという選手が存在しなければ有り得なかったことなのだ。