世田谷草野球ロスヒターノス・ブログ

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続・モノの価値

先日、非常にお世話になっている私の友人から大杉勝男のサインボールを探して欲しいと言われた。

実際、大杉のサインボールはなかなか市場に出てこないうえに出てきても非常に高額で取引されている。

私の手元にも大杉に関しては、大杉所属当時のヤクルトスワローズ優勝時の寄せ書きボール(若松や大矢の時代!)しかないが、このボールを彼にプレゼントすることにした。


別に美談を披露したい訳ではない。モノの価値とは感動する人のもとへあってこそだということだ。


実際、10年前に大杉勝男のサインを入手した時の私は大きな感動を得ていた。
ヤクルト初優勝付近の時代なだけに毎度のごとく資料的な価値もあり、サインをしているメンバーの解読をしたのを今でも覚えている。

 

当時の日本のコレクターは、トレーディングカード全盛の時代でメモラビリアは全く受け入れられる土壌ではなかった。


その証拠に、98年のベースボールマガジン社の企画したサイングッズは、今では考えられないと思うだろうが、ある時期まで市場から消えることがないほど、いろいろなところに在庫があった。そんな時代だった。



今回、大杉のコノボールを手放すことにしたのは、このボールは私のところへいるよりも彼の元へいたほうがより愛情を注がれる。そう思ったからだ。


彼はずっと長い期間大杉勝男という人物に魅せられ、大杉が他界した後に放送された知ってるつもりで大杉勝男が放映された時の話をしている時の輝いている目は今でもボクの脳裏に焼きついている。



ある時期からネットオークションを見ていると古い野球のサインが高値をつけるようになった。

あたかも昔の野球のファンですといったような方には、昔の野球・選手が好きでサインを集めているのか、それとも昔の野球・選手のものが貴重だからサインを集めているのか分からない人も評価を見ていると結構いる。

実際に昔の野球・選手が好きな方というのは評価なんかをみていても野球のサインに限らず、様々なアイテム(古書・新聞・チケット・・・)など、まさに資料になるようなものを集めている。

それに対して貴重だから集める人は日米問わず貴重そうなサインばかりを買い、やはりサインや実使用モノ以外はほとんど手を出さない。


おそらく前者は、自己満足かもしれないが「感動」を求めて手に入れるのに対し、貴重だから集める人からすれば「感動」の裏に「貴重=高値」という構図がなりたっているようにしか思えないのだ。


世の中の価値をあらわすモノのひとつに「Money」がある。

しかし、これは信用の上に価値があると信じられるただ紙切れなのだ。

誰もが価値がないと思い始めた瞬間、本当にただの紙切れとなる。



「感動」という価値は人それぞれ違うため、数値としてあらわすことは出来ない。もちろん誰かが「感動」という価値を得られなかったとしても、「感動」を得る人の価値は不変である。モノの価値を何に現すか・・・



よく青田昇や村山実など故人のサインを探しているのですがお持ちでないでしょうか?・・・という何とも不思議なメールがくることがある。


こんなメールには無視をする。


なぜ故人である必要があるのか?このような人は「価値のあるモノ」が欲しいのであれば、そんな人は「Money」を持っておくことが一番だと思う。



さすがに10年以上もコレクターをしていると、日本であまりサインものが人気のなかった時代に比べ、サインの相場は数倍になっている。


10年以上も集めていれば、持っているサインの主が故人になってしまうことも少なくないが、私にとっては常に大きなショックをうける原因となるのだ。


私からすれば、伝説の選手は雲の上の存在の野球人、そんな野球人と野球の話をすることが私の夢なのだ。幸い近所に住んでいた某プロ野球選手とはよく野球の技術的な話から、戦前のプロ野球の話まで多くの話をすることが出来たが、色々な方とそのような話が出来ればなぁっと切実に願いつつも話してみたい選手は時間とともに故人となられていく。

決して誰かに売れるようなモノ・価値は残らないが、「感動」という自分にとって最も大事なモノがえられるのではないだろうか?まぁ夢のような話を願っていても始まらないので文献から学ぶ訳だが・・・



東京ドームの横には戦没選手の慰霊碑が立てられている。


沢村栄治や石丸進一、倉信雄など多くの戦没選手がいた訳だが、若くして亡くなった彼らの遺族には遺品が残されていないことも珍しくない。


コレクターがこのような遺族らに寄贈できるような時代になれば、日本の野球コレクター文化は市場価格だけでなく「文化」が生まれると思う。



モノの価値そしてそのモノの歴史的な位置づけがわかるようになれば、どのような人の元にそのモノがあれば最も価値があるのか?

そんなことが見えてくるのではないでしょうか?


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