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中嶋聡監督の大胆采配と、日本一への分岐点【バルガスの28球】日本シリーズ第3戦、試合は負けたがオリックスの強さを感じた一戦。

昨日の日本シリーズ第3戦、オリックス・バファローズ対東京ヤクルトスワローズ。
試合はシーソーゲームの末、ヤクルトが接戦を制した。


試合が大きく動き始めたのは、5回裏のヤクルトスワローズの攻撃時、オリックスの2番手としてセサル・バルガス投手が登板したところだろう。

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バルガスは5回2死ランナーを2塁に背負った状況で登板し、村上を四球、続くサンタナにも四球、そして中村悠平に2点タイムリーヒットを浴びる。センターから3塁へ送球するもランナーはセーフ、宗が2塁へ送球するもこれが悪送球となり、3塁ランナーはホームへ帰還し、タイムリーヒットからの一連の流れで3点を奪い逆転に成功した。オスナを三振に仕留め、苦しんだ末に1つのアウトをとることができた。


このバルガスの乱調から日本シリーズ第3戦はおもろしくなっていった。

逆転を許した直後の6回表の攻撃ではランナーを一人置いた状況でラオウ杉本が同点2ランホームランで再び振り出しへ戻す。


ここで中嶋監督が6回裏のマウンドに送り込んだのは、なんと1アウトをとるのに苦しんでいたバルガスを続投させたのだ。



普通の監督であれば、この重要な局面で乱調の投手を続投させず他の投手を送り込むだろう。



しかし中嶋監督は違った。


5回表を終えてベンチに戻るバルガスには、おそらくチームメートですら目に入っていなかっただろう。


悔しさからか、そそくさとベンチへと姿を消した。その表情とは別人のようなバルガスが6回裏のマウンドへ向かっていったのだ。


6回裏は文句なく打者3人をピシャリと抑え、7回表の逆転劇へと続いていった。


しかし7回裏に変わった吉田凌がサンタナに2ランホームランを浴び、再びヤクルトが逆転しヤクルトが勝利した。


試合こそ負けたが、ここまで勝ち上がってきたオリックスの原動力は中嶋監督が選手を信じる心ということを試合を通じて感じた。


あそこでバルガスを続投させなければ、もう日本シリーズで投げることすら難しかっただろう。


バルガスにも、自らを信じ続投という采配をした中嶋監督の気持ちは響いたはずだ。



しかも同点に追いついた重要な局面で引き続きマウンドをバルガスに託し、そしてバルガスも3人をピシャリと抑えたのだ。


これはオリックスは強い訳だ。この【バルガスの28球】は、オリックス日本一への分岐点となるかもしれない。


思い出されるのが1996年の日本シリーズで日本一へ王手をかけたオリックス、4回の巨人の攻撃で井上真二のレフトへの打球を本西がダイレクトキャッチ(←VTRを見る限り)を審判はワンバウンドと判定。これに対し指揮官・仰木彬監督は守備についていた選手を全員ベンチへ引き上げて試合をボイコット。その時間10分程度。再びグラウンドへ戻ってきたオリックスナイン。それまでは両チームが点の取り合いだった試合展開は一転し、両チーム膠着したまま試合は終了しオリックスは日本一となった。この仰木監督の判断の裏には、1989年の近鉄監督時代に屈した3連勝からの4連敗でシリーズを落とした経験があった。短期決戦で一番怖いのは流れが変わることだ。それを恐れた仰木監督が選手全員を引き上げるという異常事態を演出し、流れが変わるのを食い止めたのだ。その演出にも中嶋監督と同じく本西がライナーで取ったというアピールを信じたことが起因している。




ココがヤクルト優勝へ勢い付けさせるか?またはオリックス日本一へ向けチームがさらに引き締まっていくか?




バルガスを応援する私にはそう感じさせられた中嶋監督と【バルガスの28球】だった。



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