世田谷草野球ロスヒターノス・ブログ

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星野ジャパン!サブローのスクイズの影に代走宮本

日本の北京オリンピック出場が決定した。ひたすら熱狂している日本だがまだ予選を通過しただけ、来年が本番だということを考えれば、勝って兜の緒を締めるといった感じの課題をもっと日本国内も考えなければならないのでは・・・そう思う。

 実は台湾に逆転された7回表無死1・2塁の場面で2塁ランナーに代走に出たのがヤクルトスワローズ宮本慎也、既に日本代表の主将のイメージも定着した感のある宮本だが、日本代表に宮本慎也という選手がいたことが今日の星野ジャパン台湾戦の勝利の一番の要因であった。


 昨日の韓国戦、今日の台湾戦は決して楽な試合ではなかった。
一歩間違えば負けてもおかしくない、だからこそ大楽勝と言いつつもニュース番組ではお祭り騒ぎというよりは、今日台湾に負けるとどうなるかといった順位表のシミュレーションが行われたのだろう。


今となってはほとんど報道されないが、アジア予選の前哨戦となったプレ五輪が今年行われていた。


今回のようなトップ選手を集めた日本代表ではなく、二軍選手を中心とした日本代表だったが、大楽勝とみられていた明らかな格下・チェコ、フランスの両国に対して勝利こそしているが2試合とも延長戦に突入する決して大楽勝とは言えない試合だった。

 実は台湾戦とかぶる場面があった。1死満塁で打者は大塚淳(ヤクルト)。サイン通りの初球スクイズに各ランナーがスタートを切らず、三塁コーチャー山本浩二が「走れ」と叫んだという。しかし結果は併殺。

 高校野球でもあり得ないようなプレーが続いたこともあり、選手個々人の実力では圧倒的に格上の日本も苦戦を強いられていたのが現実だった。

 おそらく代走・宮本は星野監督が「宮本なら大丈夫」と信頼を寄せていたのだろう。

その証拠が今大会日本代表初めての代走がこの場面だったのだ。

もしあの場面で他のランナーだったら里崎のバントで3塁アウトになっていただろう。

 この走塁があったからこその1−2からの4球目のサブローのスクイズ、そして流れを引き寄せての大量得点に結びついた訳だ。



 大会戦前から日本代表は、「長打力不足」と評論されてきたが、そんな風評に対して手のひらを返したような緻密な野球。

シーズン中は引っ張り続けるような打者も毎打席逆方向を狙っているところも、この戦いの中で狙った長打は必要ないことを証明している。

 無事、北京への切符を手に入れた星野ジャパン。

ココまでの星野ジャパンの作戦が実を結んだものも多かったが、逆にテレビが報道しないところに様々な課題を見出せたのではないだろうか。

上原を除き、立ち上がり、交代直後の投手陣の制球が全体的に乱れていたのが今大会日本代表投手陣を見ていての一番の印象である。

ただ一つ幸いなのが、今大会に参加した選手の中に来季メジャーでプレーする可能性の選手がいないということだ。

そういった意味ではFA中の福留が外れたことは結果としてみればよかったのかもしれない。

 アテネ時には松井稼頭央がアジア予選ではスタメンだったのだが、翌年はメジャー移籍の為に本選出場できなかったことを考えればそう思う。


さて本選では最強国キューバアメリカが早々に北京オリンピック本選出場を決めている。


キューバに関しては以前ほど強くないといった評価が多いが、私がキューバ野球の現状を見る限り、年々強くなってきているように感じる。

リナレス・キンデラン・パチェーコといった10年以上もクリーンナップに名を連ねていた主砲がいたことからも、彼らが引退時に確かにキューバは全体的に小さなチームになったように感じたことは否めない。


00年のシドニーオリンピックで参加以来はじめて優勝を逃したキューバ(金メダル:アメリカ、キューバは銀メダル)だったが、キューバが一番苦しかった時期だったと思う。

04年にはふたたび金メダル獲得。(過去4大会参加で金メダル3回、銀メダル1回)


その当時若手だった選手らは今ちょうど脂が乗り始めたところであり、イチローのいたWBCは日本が優勝したが、準優勝はキューバ


メジャー選手が多く参加するWBCでもその強さを実証し、日本ではあまり知られていないと思うが、昨年11月台湾で行われたインターコンチネンタルカップではキューバが優勝している。 

 

私の優勝予想はもちろんキューバであり、来年35歳のラソや38歳となるパルマ(←代表入は30歳を過ぎてからの遅咲き)のベテラン投手とオデリンやスアレスのような若手投手、キューバ代表の正捕手として10年となるペスタノや鉄壁の守備を誇るパレのようなベテランだけでなく、グリエルのようなメジャーリーグ注目の若手も数多く出場するだろう。


 星野ジャパンの金メダルの可能性は現状のままでは少ない。WBCメンバーと比べても、全体的なチームのレベルが低く、若手選手が多いこともあり国際大会経験者も少ない。ただ可能性がないのではなく、本線進出を決めた「これから」が大事なのである。

日本シリーズで1度も日本一になっていない星野監督なだけに短期決戦に弱いという意見も出ているが、もし本選で日本が優勝を狙うのであれば、韓国戦で岩瀬をイニング終了までなげさせたところで、イニング途中であっても藤川あたりを登板させるような「おもいっきり」が必要なのではないかと個人的には感じる。


 そして最後にひとつ。日本代表は日本全国、子供から年配の方まで見ている。国際基準を満たしている野球場や審判にケチをつけてはいけない。

皮肉られていたが、世界を見回しても「札幌ドーム」や「東京ドーム」のような野球場はない。

 野球という世界的にはマイナーな競技に、それだけの巨額投資して球場を建設する国は世界を見回しても日本かアメリカくらいなものだろう。

むしろアメリカでは現在、人工芝やドーム球場は時代遅れであり、そういった部分ではアメリカから見たら日本の球場も時代遅れなのかもしれない。

国によって野球のおかれている環境そしてその価値観は違う。


日本代表はまさに日本国民にとってはドリームチーム。


どんな劣悪な環境であったとしても、それを口に出してしまえば負けた時に負け惜しみになる。

私はそんな日本代表を見たくない。

そんな日本代表に「夢」はない。だからこそ文句ではなく「日本の球場は恵まれているなぁ」と思えるような度量の広さが日本代表には求められるのかもしれない。