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中馬庚と正岡子規と明治時代の野球とベースボール

ベースボールを「野球」と訳したのは正岡子規なのか?という質問をいただいた。
この説は、正岡子規の幼名・升(のぼる)にちなんで【野球(の・ボール)】という雅号を使ったことがあることからそのような説が存在する。
子規の故郷・松山市松山市野球資料館の名前は子規にちなんで【の・ボールミュージアム】と名付けられているのだから、地元・松山ではその正岡子規翻訳説の真偽は別として大事にされている説といえる。
また正岡子規の四大随筆のひとつ『松蘿玉液』は子規が29歳ごろ(1896年)に書かれたもので、このベースボールに書いて書かれた記事の最後に

【ベースボールいまだかつて訳語あらず、今ここに掲げたる訳語はわれの創意に係る。訳語妥当ならざるは自らこれを知るといへども匆卒の際改竄するに由なし。君子幸に正を賜へ。 升】

ということが書かれているが、ここからも【野球(の・ボール)】はベースボールの訳語という意図がなかったことはわかる。
もちろん正岡子規に関しては日本の野球草創期には欠かすことのできない人物であるので後日書こうと思う。


実際にベースボールを野球と訳したのは薩摩(現・鹿児島県)出身の中馬庚であるというのは。
中馬は1887年(明治20年)に第一高等中学校(通称:一高)に進学し野球部として活躍していた選手だ。1893年(明治26年)に一高卒業する時に「一高ベースボール部史」の出版を依頼されたことが【野球】という言葉の誕生へのきっかけだった。

当時、ベースボールはそのままベースボールと呼ばれていた。しかしどうしても訳語を使わなければならない時は【底球】と訳されていたが、当時すでにテニスが【庭球】と訳されており、おなじ【ていきゅう】となってしまうため新たな訳語を求められた。

そこで中馬は「ball in the field」という言葉から【野球】という訳語を考案した。
これはテニスが庭で行うから【庭球】と訳されていることにヒントを受け、野原でやるから【野球】と訳した訳だ。
1894年(明治27年)秋ごろに「一高ベースボール史」の編纂の段階で【野球】と翻訳され、現在に至っている。



そして1895年(明治28年)2月22日に【野球部史】は発行され【野球(やきゅう)】という訳語がはじめて世に出たのだった。



明治28年2月22日に発行された「校友会雑誌号外 野球部史」(復刻版)と
 明治36年2月28日に発行された「校友会雑誌号外 野球部史」(オリジナル)


中馬庚がただベースボールを野球と訳した人としてだけ知られているが、明治期を代表する強豪校こそ一高野球部であり、その一高の代表する選手だった。


一高野球部は1888年(明治21年)に創部。

1890年(明治23年)にインブリー事件が発生した明治学院白金倶楽部との試合は途中で中止になったが0対6で一高が大きくリードを奪われていたのだが、同年秋に行われた明治学院白金倶楽部との試合は26対2で勝利している。

1891年(明治24年)に行われた白金倶楽部と溜池倶楽部の連合軍との試合で勝利し、ここから一高の黄金時代(1891年(明治24年)〜1904年(明治37年))が始まった。その時期に一高の二塁手として活躍したのが中馬庚だった。



その後、37歳となった中馬庚は1906年(明治39年)に地元・鹿児島第二中学校の教頭となると、1909年(明治42年)に新潟県糸魚川中学校校長、1912年(明治45年)に新潟中学校の校長、同年10月に秋田県の大館中学校の校長、1914年(大正3年)には四国・徳島県の脇町中学校の校長と日本各地で校長を歴任した。1918年(大正7年)〜1925年(大正14年)は定年まで銀行に勤め、1932年(昭和7年)3月21日に萎縮腎のため62歳でこの世を去った。

中馬庚生誕100周年となった1970年(昭和45年)に野球殿堂入りした。
顕彰文には「明治27年ベースボールを「野球」と最初に訳した人で、又同30年には野球研究書「野球」を著作。これは単行本で刊行された本邦最初の専門書で、我が国野球界の歴史的文献と言われている。一高時代は名二塁手。大学に進むやコーチ・監督として後輩を指導。明治草創時代の学生野球の育ての親と云われた。」と記されている。


その中馬庚の名前の読み方にも2つの説があり、長らく【ちゅうま かのえ】と読まれてきたが、近年では【ちゅうま かなえ】と読むのが正しいといわれている。しかし野球殿堂の読み方は【ちゅうま かのえ】となっている。一体どちらなのだろうか?



後年、中馬庚が校長として赴任していた徳島県の脇町中学校(現・脇町高校)の校長となった後藤善猛氏が中馬庚の伝記『ああボッケモン―“野球の名付け親”中馬庚脇中校長伝』という本を書いているので興味のある方は是非一読いただきたい。




•2014-04-09 野球本特集 其の三 一高野球部 虎の子の2冊〜 中馬庚と守山恒太郎
http://d.hatena.ne.jp/losgitanos/20140409
•2014-02-09 野球本特集 其の二 明治時代の野球用品の価格は?
http://d.hatena.ne.jp/losgitanos/20140209
•2014-04-11 野球本特集 其の四 日露戦争橋戸信アメリカ土産
http://d.hatena.ne.jp/losgitanos/20140411
•2014-02-08 野球本特集 其の一 野球本ことはじめ
http://d.hatena.ne.jp/losgitanos/20140208



ああボッケモン―“野球の名付け親”中馬庚脇中校長伝 (1983年)

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DVD 試合で使える野球審判のしかたとルール

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ベスト・ヒット・ユタ州

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Daytona (デイトナ) 2014年 03月号 Vol.273

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≪リンク集≫
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東京都世田谷区駒沢のスポーツ用品店若林スポーツ。
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2013年は3回のワンデートーナメントを企画。
地元世田谷草野球を盛り上げるための私設草野球大会。



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