世田谷草野球ロスヒターノス・ブログ

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球宴前夜

明日いよいよメジャーリーグ夢の球宴が開催される!そして今日はホームラン競争が行われた。


やはりメジャーリーグのオールスターはスゴイ!特に日本人選手はある時期まで投手しかいなかったこともあり本当に実力がある選手でなければオールスター出場が出来ないため、オールスターは本当に遠い存在だった。



95年に野茂英雄がオールスターの先発のマウンドに立ったとき、時代は変わった。



95年は日本のプロ野球に大物メジャーリーガーが大挙してやってきたのを思い返してもらいたい。



例えば、ダイエーホークスと4億5千万円の大型契約を結んだメジャーリーグ本塁打王ケビン・ミッチェルや、ロッテ快進撃の立役者にして90年の首位打者フリオ・フランコ、活躍こそしなかったがピート・インカビリア、前年メジャーで打率.333のハイアベレージを残したシェーン・マック、アスレティクスの主砲だったトロイ・ニール....




はっきり言ってこれだけの大物が来襲した年は後にも先にもこの年限りだろう。


メジャーリーグは前年94年シーズン途中にストライキに突入してしまった。

ロジャー・マリスが61年に記録したメジャーリーグ最多本塁打記録61本更新へのホームランレース。
90年代でこの年94年が最初だったのではないだろうか?ジャイアンツのマット・ウィリアムスとマリナーズケン・グリフィーJrが挑戦していた61本塁打は結局記録更新とならなかったが、この挑戦を断念させたのは、本来であったら盛り上げなければならないオーナー側と選手会側の巨額マネーによる交渉決裂だ。(ちなみにマット・ウィリアムスは112試合で43本塁打。残り試合50試合で19本で新記録だった。)


さらにはこの年ストライキからワールドシリーズも開催中止。無期限のストライキは、年を越し95年シーズン開幕の目処すら立っていなかった。そんな状況だったからこそ、95年には大物メジャーリーガーが大挙して来襲してきたのだ。


もちろん、このストライキによって大リーグの人気は地に堕ちたといっても過言ではない。ファンもこのストライキサラリーキャップ制度による交渉決裂だったことから「金持ちと大金持ちの金の問題」と冷やかな目で見ていて、深刻なファン離れを招いたのだ。95年4月1日にストライキは解除されたものの開幕は4月25日と遅れた。


同年5月2日に年俸980万円のメジャーリーガー野茂英雄は、多彩なフォームが存在するメジャーリーグですら見たことのない独特な投球フォームとフォークボールそしてその実力で全米野球ファンを釘付けにさせたのだ。ストライキで窮地に陥ったメジャーリーグを救ったのは間違いなく野茂英雄なのだ。これは断言できる!



それにあの当時、野球を熱心に見ていなかった人はあまり記憶にないかもしれないが、オールスターに出場するあたりには国民的な英雄になっていた野茂英雄だが、代理人団野村氏とともにメジャーへの道のりはストライキによってファン離れの進むメジャーリーグ以上に酷い扱いをされていた。


今でこそ当たり前のようにメジャーへ挑戦できる時代になったのも、あの時野茂英雄という選手がメディアからのバッシングに耐え、そして閉鎖的な日本野球界の鎖国による圧力に耐え、最後に見返したからこそ挑戦できるのだ。

 


95年のオールスターに選ばれた野茂英雄は、ナショナルリーグの先発投手。アメリカンリーグの先発はランディ・ジョンソンだった為、両リーグのDr.K対決が実現したのだった。


ファン投票ではなく、監督推薦でのオールスター出場・先発登板した野茂がいかにアメリカで活躍しそして全米中に大きな影響を与えたかがわかるだろう。


監督推薦だけで選ばれても出場出来ない投手もいる中、先発の大役を担った訳だから。

 



06年3月、日本はWBCで世界王者となった。「野球」の国が、ベースボールの頂点に立った訳だが94年にイチローがブレイクし、95年に野茂がメジャーへ挑戦した。この2つの出来事が立て続けに起きなければ、日本は世界王者になることはなかっただろう。



今の野球の「強豪日本」はJリーグに押されていたあの時、長嶋茂雄復活→松井秀喜入団→イチローブレイク→野茂英雄メジャーという一連の流れが、わずか3年のうちに起きたからこそなのだと私は考えている。

 

01年にイチローメジャーリーグへ渡り、日本と変わらぬ素晴らしい活躍を見せているが野茂英雄がいなければ、イチローもおそらく「日本のイチロー」で終わっていただろう。よくイチロー(1974年生)がジョージ・シスラー(1974年没)の生まれ変わりではと言われるが、同じドジャーブルーを身にまとった野茂英雄ジャッキー・ロビンソンの生まれ変わりなのかもしれないと思うくらい大きな壁をこじ開けた訳だ。



今年で7年連続オールスター出場となるイチローもスゴイ!


オールスターになるとイチローや出場する選手の凄さを感じるが、やはり時代的な背景を考えると全米を震撼させた野茂英雄の凄さは郡を抜いている。


ジャッキー・ロビンソンは、オールセンチュリーチームに選ばれたが、もちろんジャッキー・ロビンソンより素晴らしい二塁手はたくさんいる。しかし、歴史的な存在を考えればジャッキー・ロビンソンを越える二塁手は存在するわけがない。


日本人にとっては野茂英雄も同じなのだ。



さて今年の夢の球宴ボンズやグリフィーの古参選手や、未来を担うプリンス・フィルダーなんかの競演も非常に楽しみだ!